約4社に1社が要件定義にAIを導入。データで見るシステム開発×AIの現在地

生成AIの普及により、システム開発のあり方が変わり始めています。AIによるコード生成が代表例ですが、活用は「実装」だけにとどまりません。企画・要件定義・設計・テスト・運用など、さまざまな工程へ広がっています。なかでも注目したいのが、上流工程である「要件定義」へのAI活用です。
システム開発にも広がるAI活用
生成AIの登場によって、ソフトウェア開発におけるAI活用が急速に進んでいます。代表的なのが、AIによるプログラムコードの生成です。IPA「2025年度ソフトウェア動向調査」によると、「実装」工程にAIを導入済み(全社レベル+一部の部門・プロジェクト)と回答した企業は40.3%となっています。※1
AIによってコードを生成したり、既存コードを修正したりすることで、開発業務を効率化する取り組みが広がっていることがうかがえます。しかし、AI活用が進んでいるのはプログラムを書く工程だけではありません。システム開発のスタート地点ともいえる「要件定義」にも、AIを導入する企業が現れています。
約4社に1社が「要件定義」にAIを導入
要件定義とは、「どのようなシステムをつくるのか」を具体的にしていく工程です。例えば、次のような内容を整理し、システムに求める要件を明確にしていきます。
- どのような業務課題を解決したいのか
- 誰がシステムを利用するのか
- どのような機能が必要なのか
- どのような業務フローにするのか
- どのような性能やセキュリティが必要なのか
IPAの調査によると、この「要件定義」にAIを導入している企業は、全社レベルで導入済みが3.9%、一部の部門・プロジェクトで導入済みが23.2%で、両者を合わせると27.1%。つまり、調査対象企業の約4社に1社が、すでに何らかの形で要件定義にAIを導入しています。さらに「導入を検討中」と回答した企業も30.9%にのぼります。※1

導入済みと検討中を合わせると58.0%となり、半数を超えます。実装工程ほどAI導入が進んでいるわけではありませんが、上流工程である要件定義でも、AI活用が現実的な選択肢として検討され始めていることがうかがえます。
要件定義が十分でないと、開発途中の手戻りにつながることがあります。関連する内容については、以下の記事もご覧ください。
システム開発の炎上は「特殊な事故」ではない。IPAが示す確率とリスク
要件定義にAIを活用すると何が変わる?
では、要件定義では具体的にどのようなAI活用が考えられるのでしょうか。IPAも、ソフトウェア開発におけるAIの主な活用場面のひとつとして「対話型AIを用いた要件定義」を挙げています。例えば、次のような活用が考えられます。
業務課題や要望を整理する
要件定義では、まず現場が抱えている課題や、新しいシステムで実現したいことを整理する必要があります。「現在どのような業務を行っているのか」「どの作業に時間がかかっているのか」「システムによって何を改善したいのか」といった情報をAIとの対話を通じて整理することで、漠然とした要望を具体的な要件へ落とし込むためのサポートとして活用できます。
必要な機能・仕様を洗い出す
整理した業務課題や要望から、システムに必要となる機能や仕様を洗い出す際にもAIを活用できます。例えば「顧客からの問い合わせ対応を効率化したい」という要望から、問い合わせ内容の登録、担当者への自動振り分け、対応状況の管理、履歴検索、回答作成支援といった必要機能の候補を整理するイメージです。人だけでゼロから検討するのではなく、AIとの対話によって項目を洗い出すことで、要件を具体化しやすくなります。
要件定義書などのドキュメント作成を支援する
要件定義では、ヒアリングや打ち合わせで整理した内容を、要件定義書などのドキュメントへまとめる必要があります。こうした情報の整理や文書化も、生成AIが得意とする領域のひとつです。AIを活用することで、人が判断すべき部分は残しながら、情報整理やドキュメント作成にかかる負担を軽減できる可能性があります。
実際に使えるサービスを知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
要件定義AIツールが続々登場。注目される代表的なサービス4選を紹介
「AIで実装する」から「AIと一緒にシステムを考える」へ

今回のIPAの調査で最もAI導入率が高かったのは「実装」の40.3%でした。一方で、システム企画・要件定義29.5%、要件定義25.1%、システム設計30.1%と、システムを「つくる前」の工程にもAI活用が広がっています。※1
これまでのシステム開発におけるAI活用というと、コード生成など「開発作業を効率化するもの」というイメージが強かったかもしれません。しかし今後は、「AIにコードを書いてもらう」だけではなく、「AIと対話しながら、つくりたいシステムそのものを考える」という活用も広がっていく可能性があります。
特に、「システムをつくりたいが要件をうまく整理できない」「現場の要望をどうシステムに落とし込めばよいか分からない」「社内にシステム開発の専門知識を持った人材がいない」といった企業にとって、AIを活用した要件定義は、システム開発のハードルを下げるひとつの選択肢になりそうです。
AIを活用して、要件定義からシステム開発をスムーズに
ENTERAでは、AIを活用したシステム開発を支援する株式会社バクのサービスをご紹介しています。株式会社バクでは、AIを活用しながら要件を整理し、システム開発を進めていくことができます。
- 「開発したいシステムのイメージはあるけれど、要件として整理できていない」
- 「社内にシステム開発の専門人材がいない」
- 「AIを活用して、システム開発を効率化したい」
このような課題をお持ちの方は、サービス詳細をご覧ください。
※1 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「2025年度ソフトウェア動向調査」を基に作成 ― 各工程へのAI導入状況(導入済み=全社レベル+一部の部門・プロジェクト):実装40.3%、システム設計30.1%、システム企画・要件定義29.5%、要件定義25.1%(全社1.9%+一部23.2%)、要件定義の「導入検討中」30.9%
https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/software2025.html
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 ENTERA編集部
BtoBマーケティング支援を手がけるターゲットメディア株式会社の編集チーム。官公庁が公表する統計・白書をもとに、人事・経済・DXなど企業活動に関わるテーマを数字で読み解き、エンタープライズ企業の実務担当者に向けて発信しています。
