AI市場は2030年に約1.8兆円へ。拡大する市場から見る「要件定義×AI」の可能性

生成AIの登場によって、企業におけるAI活用が急速に広がっています。文章作成や情報収集といった個人業務だけでなく、業務プロセスの改善やシステム開発など、活用の領域は今後さらに広がると考えられます。なかでも注目したいのが、システム開発の起点である「要件定義」へのAI活用です。
データで見るAI市場の現在地
2030年、日本の生成AI市場は約1.8兆円へ
経済産業省が公表している資料によると、日本の生成AI市場の需要額は2023年の1,188億円から、2030年には1兆7,774億円まで拡大すると予測されています。※1 わずか7年間で市場規模は約15倍。2023年から2030年までの年平均成長率は47.2%に達する見込みです。※1
市場の内訳を見ると、生成AIの基盤モデルだけではなく、生成AIを利用したアプリケーションやソリューションサービスの需要拡大も予測されています。生成AIそのものを「つくる」市場だけではなく、AIを実際のビジネスや業務で「使う」市場が大きくなっていくことがうかがえます。
企業にとっても、「AIを導入するかどうか」を検討する段階から、「AIをどの業務に、どのように活用するか」を考える段階へと移りつつあるといえるでしょう。
AI市場の拡大で、システム開発はどう変わる?
AIを活用できる人材の不足が課題に
AI市場が急速に拡大する一方、企業がAIを活用していくうえでは課題もあります。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「DX動向2025」では、日本企業におけるAI関連人材の不足が明らかになっています。なかでも、「現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる人材」が不足していると回答した企業は71.6%。※2 さらに、DXを推進する人材そのものについても、「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した日本企業は8割を超えています。※2
つまり、AIの選択肢が増え、市場が成長していても、それを「自社の業務でどう使うのか」「どのようなシステムとして実現するのか」を考えられる人材が十分にいるとは限りません。そこで今後重要になってくるのが、AIをシステムに搭載するだけでなく、「システム開発そのものにAIを活用する」という考え方です。
注目される「要件定義×AI」とは
システム開発では、いきなりプログラムをつくり始めるわけではありません。まず、次のような点を整理し、「どのようなシステムをつくるのか」を明確にする必要があります。
- どのような業務課題を解決したいのか
- どのようなユーザーが利用するのか
- どのような機能が必要なのか
- どのような業務フローにするのか
この工程が「要件定義」です。従来の要件定義では、業務担当者へのヒアリングや情報整理、必要機能の洗い出し、要件定義書の作成などに、多くの知識や工数が必要でした。こうした工程にも、生成AIを活用できる可能性があります。
実際の業務への導入はどこまで進んでいるのでしょうか。以下の記事もご覧ください。
約4社に1社が要件定義にAIを導入。データで見るシステム開発×AIの現在地
AIによる業務課題・要求の整理
「現在どのような業務を行っているのか」「何に困っているのか」といった情報をAIとの対話を通じて整理することで、システム化すべき業務課題を具体化しやすくなります。
必要な機能・仕様の洗い出し
整理した業務内容や課題をもとに、システムに必要となる機能や仕様の候補をAIで洗い出すことも考えられます。システム開発の専門知識が十分になくても、対話を重ねながら要件を具体化できることは、AI活用の大きなメリットのひとつです。
要件定義書・仕様書作成の効率化
ヒアリングや対話によって整理した情報から、要件定義書や仕様書などのドキュメント作成を支援することも可能です。これまで人が多くの時間をかけて行っていた「情報を整理し、システム開発に必要な形へ落とし込む」作業をAIが支援することで、システム開発の上流工程を効率化できる可能性があります。
AIを活用したシステム開発が、より身近な選択肢に
日本の生成AI市場は、2030年には約1.8兆円規模まで拡大すると予測されています。一方で、AIやDXを推進できる人材の不足は、多くの日本企業に共通する課題となっています。
こうした状況において注目されるのが、AIを業務で利用するだけではなく、要件定義をはじめとした「システムをつくる工程そのもの」にAIを活用する方法です。専門的なIT知識や開発人材が不足している企業でも、AIの力を借りながら自社の課題を整理し、必要なシステムを形にしていく。AI市場のさらなる拡大によって、こうしたシステム開発のあり方も、今後広がっていく可能性があります。
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※1 経済産業省 資料「生成AIの利活用の現状・課題・今後」(2024年6月、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の調査をもとに作成)― 日本の生成AI市場の需要額 2023年1,188億円→2030年1兆7,774億円(約15倍、2023〜2030年の年平均成長率47.2%)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/20240628_2.pdf
※2 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「DX動向2025」― 「現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる人材」が不足していると回答した企業71.6%、DXを推進する人材が「やや不足」「大幅に不足」と回答した日本企業は8割超
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 ENTERA編集部
BtoBマーケティング支援を手がけるターゲットメディア株式会社の編集チーム。官公庁が公表する統計・白書をもとに、人事・経済・DXなど企業活動に関わるテーマを数字で読み解き、エンタープライズ企業の実務担当者に向けて発信しています。
