サイバー被害、最も多い業種は製造業。2026年度「SCS評価制度」が始まる

ランサムウェアの被害業種で、製造業が最多となっています。攻撃は取引先を経由してサプライチェーン全体に及び、中小企業の被害も増えています。2026年度には、企業のセキュリティ対策状況を星の数で格付けする「SCS評価制度」が始まります。自社だけでなく、供給網全体の備えが問われます。
被害業種の最多は製造業
警察庁によると、2024年のランサムウェアの被害報告件数は222件で、高水準が続いています。業種別では製造業が最多で、約3割を占めます。※1
規模別では、大企業の被害が減少する一方、中小企業の被害は前年比37%増加しました。攻撃ツールを他者に提供するRaaSという仕組みで攻撃者の裾野が広がり、対策が比較的手薄な中小企業が狙われています。※1
感染経路は、VPN機器やリモートデスクトップからの侵入が8割以上を占めています。※1
被害は「サプライチェーン全体」に及ぶ
製造業の被害が重いのは、多くの取引先とつながる供給網の広さゆえです。1社への侵入が、取引先全体へ波及しかねません。被害は長期化・高額化しており、調査・復旧に1,000万円以上を要した組織は37%から50%へ増加しました。※1
一方で、備えは追いついていません。大きな被害を受けた組織のうち、サイバー攻撃を想定したBCP(事業継続計画)を策定していたのは11.8%にとどまります。※1
さらにものづくり白書では、リスク分析で意識するサプライチェーンの範囲が2、3社先までにとどまる事業者が9割強と、供給網の可視化も浅いのが実態です。※2
2026年度、SCS評価制度が始まる
こうした中、経済産業省とIPA(情報処理推進機構)は、「SCS評価制度(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)」の整備を進めています。企業のセキュリティ対策状況を★3から★5の5段階で格付けし、可視化する仕組みです。
★3は専門家の確認を経た自己評価、★4は第三者機関による評価を求めます。※3 2026年度末頃の開始が目指されています。※3
発注側の大企業にとっては、自社の格付けにとどまらず、取引先に一定の水準を求める動きにつながります。供給網全体でセキュリティ水準を底上げできるかが、次の課題となります。
※1 警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(令和7年3月)― ランサムウェア被害報告222件、業種別は製造業が最多(約3割)、中小企業の被害は前年比37%増、感染経路の8割以上がVPN機器・リモートデスクトップ、調査・復旧に1,000万円以上を要した組織は37%→50%に増加、大きな被害を受けた組織のサイバー攻撃想定BCP策定は11.8%
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R6/R06_cyber_jousei.pdf
※2 経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2025年版ものづくり白書(概要)」― リスク分析で意識するサプライチェーンの範囲は直接取引先及び2、3社先までが9割強
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/pdf/gaiyo.pdf
※3 経済産業省・IPA「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)に関する制度構築方針」― ★3〜★5の5段階評価、★3は専門家確認付き自己評価・★4は第三者評価、2026年度末頃の開始を目標
https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260327001/20260327001.html
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 ENTERA編集部
BtoBマーケティング支援を手がけるターゲットメディア株式会社の編集チーム。官公庁が公表する統計・白書をもとに、人事・経済・DXなど企業活動に関わるテーマを数字で読み解き、エンタープライズ企業の実務担当者に向けて発信しています。
