介護離職は年約10万人。2025年、企業に「両立支援」が義務化

介護を理由とした離職は年に約10万人で高止まりが続いています。働きながら介護する人は今後さらに増える見通しです。2025年4月には改正法が施行され、介護離職を防ぐための措置が企業の義務となりました。今後の人事に問われるのは、制度を設けることではなく、それを使える状態にできるかだと思われます。
介護離職は年約10.6万人、高止まりが続く
介護・看護を理由に仕事を辞める人は、総務省の「令和4年就業構造基本調査」で約10.6万人。前回2017年調査から約7千人増え、依然として高い水準にあります。※1
特徴は偏りにある。離職者の約8割を女性が占め、年齢層では管理職世代にあたる50代が最も多い。※1 中核人材が抜けるリスクとして表れやすい構造だ。
2030年、働きながら介護する人は318万人へ
こうした介護負担は今後さらに拡大すると予測されます。経済産業省の推計では、2030年の家族介護者は約833万人に達し、その約4割にあたる約318万人が「ビジネスケアラー」(働きながら介護する人)となります。※2
離職や労働生産性の低下に伴う経済損失は約9兆円と見込まれる。※2 介護は特定の個人の問題にとどまらず、企業全体の生産性に関わる経営課題となりそうです。
2025年4月、両立支援が企業の義務に
制度面はすでに動いています。2025年4月施行の改正育児・介護休業法により、企業には介護に関する雇用環境の整備が義務づけられました。研修の実施や相談体制の整備などのいずれかの措置が求められています。※3
あわせて、従業員が介護に直面する前の情報提供と、直面した際の個別の周知・意向確認も義務化されました。※3
今後問われるのは、制度を設けることではなく、対象となる管理職世代が実際に使える運用へ落とし込めるかだと思われます。
※1 総務省「令和4年就業構造基本調査」― 介護・看護を理由とする離職者数(約10.6万人、前回2017年比 約+7千人、うち約8割が女性・50代が最多)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200532&tstat=000001163626
※2 経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」等(2023年3月推計)― 2030年のビジネスケアラー 約318万人(家族介護者 約833万人の約4割)、経済損失 約9兆円
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240326003/20240326003.html
※3 厚生労働省「育児・介護休業法 令和7年(2025年)改正のポイント」― 2025年4月施行の介護関連措置(雇用環境整備の義務化、個別周知・意向確認の義務化 ほか)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf
本コラムの作成・編集者
ターゲットメディア株式会社 ENTERA編集部
BtoBマーケティング支援を手がけるターゲットメディア株式会社の編集チーム。官公庁が公表する統計・白書をもとに、人事・経済・DXなど企業活動に関わるテーマを数字で読み解き、エンタープライズ企業の実務担当者に向けて発信しています。
