製造業の電力消費量は年間約3,077億kWh|電気代削減で確認したい3つの視点

2024年度の製造業の年間電力消費量は約3,077億kWhでした。※1 工場の電気代を削減するには、電力使用量を減らすだけでなく、料金の内訳や電力を使う時間帯にも目を向ける必要があります。
本記事では、製造業の電力消費の実態を紹介したうえで、使用電力量・料金単価と契約条件・最大需要電力の3つの視点から、工場の電気代を見直す手がかりを整理します。
製造業の年間電力消費量は約3,077億kWh
資源エネルギー庁「2024年度総合エネルギー統計」の詳細表をもとにすると、製造業の年間電力消費量は約3,077億kWhです。内訳は事業用電力が約2,488億kWh、自家用電力が約589億kWhとなっています。※1
| 区分 | 2024年度の電力消費量 | 構成比 |
| 事業用電力 | 約2,488億kWh | 80.9% |
| 自家用電力 | 約589億kWh | 19.1% |
| 製造業全体 | 約3,077億kWh | 100% |
出典:資源エネルギー庁「2024年度総合エネルギー統計(詳細表)」をもとにした原稿掲載値。端数処理のため合計に差が生じる場合があります。
この統計には自家発電による使用分も含まれます。購入電力の請求額とは対象が異なる点に留意が必要です。
製造業の電力消費量の約半分を、金属関連と機械製造業が占める
2024年度の製造業の電力消費量を業種別に見ると、鉄鋼・非鉄・金属製品製造業が約800億kWh(26.0%)で最も多く、次いで機械製造業が約782億kWh(25.4%)となっています。
この2つの業種区分だけで、製造業全体の電力消費量の約半分を占めています。
| 主な業種区分 | 年間電力消費量 | 製造業全体に占める割合 |
| 鉄鋼・非鉄・金属製品製造業 | 約800億kWh | 26.0% |
| 機械製造業 | 約782億kWh | 25.4% |
| 化学工業(石油・石炭製品含む) | 約489億kWh | 15.9% |
| 食品・飲料製造業 | 約267億kWh | 8.7% |
| パルプ・紙・紙加工品製造業 | 約250億kWh | 8.1% |
※出典:資源エネルギー庁「2024年度総合エネルギー統計(詳細表)」をもとに作成。主要区分を抜粋。
この表は製造業全体の電力利用の規模を示すものです。工場の削減余地を探す際には、業種の順位よりも、自社の設備・工程での使い方に目を向けることが有効です。
電力使用量が減っても、電気代が下がるとは限らない
工場の電気代は、使用電力量だけでなく、電力量料金の単価や基本料金、燃料費調整額などによって決まります。そのため、省エネ対策によって電力使用量を削減できても、料金単価の上昇などによって電気代が増える場合があります。
実際に、資源エネルギー庁が公表している産業用電気料金の平均単価は、燃料価格などの影響を受けて年度ごとに変動しています。※3
一方、2024年度の製造業の電力消費量は前年度比0.5%減でした。※2 ただし、これは製造業全体の集計値です。生産量や稼働状況の変化も影響するため、省エネ対策の成果を直接示すものではありません。
つまり、電気代削減の効果を確認する際には、「電力使用量がどれだけ変わったか」と「電気料金の単価や契約条件がどう変わったか」を分けて考える必要があります。
工場の電気代が増減した理由は、同じ拠点・同じ期間の使用電力量と請求明細を照らし合わせることで、整理しやすくなります。
電気代削減で確認したい3つの視点
① 使用電力量:生産量の変化と省エネ効果を分ける
月間の使用電力量が減少していても、生産量や稼働日数が減っただけかもしれません。製品1個当たり、あるいは生産重量当たりの電力量を確認することで、生産活動の変化を踏まえた評価が可能になります。
ただし、多品種生産では製品ごとの加工負荷が異なります。単純な生産数量だけで割るのではなく、品種構成や工程、稼働条件をそろえた比較が前提になります。
② 料金単価・契約条件:請求額の変化を分解する
電気料金の請求額には、基本料金、電力量料金、燃料費等の調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金など、契約に応じた複数の要素が関係します。使用電力量が横ばいでも、単価や調整額の変化で請求額が動く場合があります。
まずは同一工場の前年同月と当月を比較し、使用電力量、契約電力、基本料金、電力量料金、調整額を項目別に並べると、どの要因が変化したかを整理できます。料金体系や契約条件は電力会社・プランによって異なるため、請求明細と契約書の確認が必要です。
③ 最大需要電力:年間使用量では見えないピークを確認する
高圧電力の実量制などでは、当月と過去11か月の最大需要電力のうち大きい値が契約電力に反映される仕組みがあります。※4 この場合、短時間のピークが、その後の基本料金に影響する可能性があります。
ただし、すべての工場が同じ決定方式ではありません。契約電力の決め方を確認したうえで、最大需要電力が発生した日時と、そのとき稼働していた設備を照合することが検討の入口になります。生産上の制約が許す範囲で、設備の同時起動や稼働時間帯を調整できるかという視点もあります。
まとめ:電力使用量・料金条件・ピークを分けて見る
製造業の年間電力消費量は約3,077億kWhですが、電力使用量の削減が、そのまま電気代の削減につながるとは限りません。
工場の電気代削減では、①生産量を踏まえた使用電力量、②料金単価と契約条件、③契約方式に応じた最大需要電力を分けて確認することで、改善余地を探しやすくなります。まずは自社の請求明細と操業データから、どの要因が変わったかを整理することが出発点です。
※1 資源エネルギー庁「2024年度総合エネルギー統計(詳細表)」(2026年4月14日公表・改訂)。
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/results.html
※2 資源エネルギー庁「2024年度エネルギー需給実績(確報)」(2026年4月14日公表)。
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/gaiyou2024fykaku.pdf
※3 資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版)」第1章第4節「二次エネルギーの動向」。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/energytrends/202506/html/s-1-4.html
※4 経済産業省「複数口・高出力充電器を設置する際の注意点<電力需要(デマンド)>」p.37。
https://www.meti.go.jp/press/2023/10/20231018003/20231018003-2.pdf
公開情報確認日:2026年10月29日。※1の内訳・業種別数値は添付初稿に掲載された集計値を継承しています。
