運輸業界の人手不足、2030年度に最大25%の輸送力不足。省人化への対応は?

更新日 : 2026年10月29日
人材・働き方改革
運輸業界の人手不足、2030年度に最大25%の輸送力不足。省人化への対応は?

運輸業界では、トラックドライバーの人手不足を背景に、物流の効率化が進められています。2030年度には最大25%の輸送力不足が見込まれる一方、荷待ち・荷役等時間は前年度から1時間16分短縮するなど、人手不足への対応も進んでいます。※1※2

2030年度には最大25%の輸送力不足も

国土交通省では、トラックドライバーの時間外労働の上限規制などによる物流への影響を踏まえ、将来の輸送力について再検証しています。※1

その結果、官民による物流効率化の取り組みなどにより、当初2024年度に想定されていた約14%の輸送力不足は、おおむね解消されたとしています。

一方、今後もトラックドライバーなどの担い手不足は続く見込みです。国土交通省の最新の推計では、2030年度には平均で約7%、最大で約25%の輸送力不足が生じる可能性があるとされています。

運輸・物流業界では、人材を確保するだけでなく、限られた人員でも必要な輸送力を維持できる体制づくりが求められています。

運輸・物流業界では長時間労働などを背景に人手不足が続く

物流業界で人手不足が続く背景の一つに、トラックドライバーの労働環境があります。

厚生労働省によると、物流業界では、荷物の積み下ろしを待つ「荷待ち」などが長時間労働につながっています。また、長距離輸送では長時間の運転や宿泊を伴うため拘束時間が長く、身体的な負担も大きいことから、働き手が見つかりにくく、ドライバー不足が深刻化しているとしています。※2

また、2024年4月からは自動車運転業務にも時間外労働の上限規制が適用されました。長時間労働の是正が進む一方、1人のドライバーが担える輸送量への影響も課題となっています。トラックドライバーの人手不足に対応するには、人材確保とともに、荷待ちや荷役などの時間を減らして業務を効率化することが重要です。

荷待ち・荷役等時間は1時間16分短縮

人手不足への対応として進められているのが、トラックドライバーの荷待ちや荷役にかかる時間の削減です。国土交通省の2025年度調査によると、トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間は10時間13分でした。※3

このうち荷待ち・荷役等時間は2時間2分で、前年度と比べて1時間16分短縮しています。また、平均拘束時間全体も前年度から1時間33分短縮しました。

一方、運転時間は前年度から横ばいでした。拘束時間の短縮には、荷待ちや荷役など、運転以外の時間を削減する取り組みが大きく影響しています。

荷主の85%が積載効率向上に向けて対応

また、荷主側でも物流の効率化に向けた対応が進められています。

国土交通省が2025年11月から2026年1月に実施した調査では、荷主による物流効率化への取り組み状況が公表されています。※4

その結果、積載効率の向上に向けて「積合せや帰り荷の確保等を行うための時間を確保」している荷主は85%でした。

また、物流効率化に向けて「関係部門間の連携」を行っている荷主も83%に上っています。

物流効率化法では、積載効率の向上に加えて、荷待ち時間と荷役等時間の短縮が求められています。物流業界の人手不足への対応は、人員を増やすだけでなく、限られた人員で効率よく輸送できる環境を整える方向へ進んでいます。

物流・荷役作業の自動化・機械化で省人化へ

こうした取り組みとあわせて、人手不足への対応策となるのが物流現場の省人化です。国土交通省では、物流施設におけるシステム構築や自動化・機械化機器の導入を支援し、荷待ち・荷役時間の削減や省人化・省力化を推進しています。※5

特に、車両への積み込みや荷下ろし、施設内での荷物の移動など、人が繰り返し行っている作業は、機械化によって作業負担を減らせる可能性があります。

一方、物流現場によっては、作業場所が固定されていなかったり、大がかりな搬送設備の導入が難しかったりするケースもあります。そのため、現場の状況に応じて、必要な場所で手軽に利用できる機器を取り入れることも、省人化を進める方法の一つです。

例えば、平田機工株式会社のバッテリー式ポータブルコンベヤ「どこでもコンベヤ」は、工具用バッテリーで駆動し、電源工事をせずに必要な場所へ持ち運んで使用できる搬送機器です。

車両からの荷下ろしや積み込みなど、これまで人が担っていた搬送作業の一部を機械化することで、作業者の負担軽減につなげることができます。

物流を担う企業だけでなく、荷主側の製造業も人手不足に直面しています。関連する内容については、以下の記事もご覧ください。

物流業界の人手不足への対応は、業務効率化と省人化が鍵に

2030年度には最大約25%の輸送力不足が見込まれるなど、運輸・物流業界では今後も人手不足への対応が求められています。

一方、荷待ち・荷役等時間の短縮や荷主による物流効率化の取り組みなど、限られた人員で輸送力を維持するための対応も進んでいます。

今後は人材の確保に加えて、荷待ち時間の削減や積載効率の向上、荷役・搬送作業の機械化など、さまざまな方法を組み合わせていくことが重要です。

人を増やすだけでなく、今いる人員で効率よく業務を進められる環境を整えること。 それが、物流業界の人手不足に対応していくための重要な取り組みとなりそうです。

※1 国土交通省「2030年度に想定される輸送力不足への対応方針」― 2030年度のトラック輸送力不足の再推計

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001984731.pdf

※2 厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」― 物流業界における2024年問題に向けた取組について

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/1-3.html

※3 国土交通省「トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果の公表」― 2025年度の平均拘束時間、荷待ち・荷役等時間

https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu02_hh_000084.html

※4 国土交通省「物流効率化に向けた取組状況に関するアンケート調査結果」― 荷主・物流事業者における物流効率化の取り組み状況

https://www.revised-logistics-act-portal.mlit.go.jp/result

※5 国土交通省「国土交通白書2025」― 物流施設における自動化・機械化、省人化・省力化の推進

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r06/hakusho/r07/html/n1212000.html

本コラムの作成・編集者

ターゲットメディア株式会社 ENTERA編集部

BtoBマーケティング支援を手がけるターゲットメディア株式会社の編集チーム。官公庁が公表する統計・白書をもとに、人事・経済・DXなど企業活動に関わるテーマを数字で読み解き、エンタープライズ企業の実務担当者に向けて発信しています。