製造業の品質管理、デジタル技術による業務改善は22.2%|他工程との比較で見る現状と課題

製造現場のデジタル化は、どの工程で進んでいるのでしょうか。2025年版ものづくり白書によると、デジタル技術を活用した業務改善を行った・行っている企業の割合は、生産管理43.7%、製造39.9%に対し、品質管理は22.2%でした。※1
品質管理の数値が低い背景には、検査対象や判定条件の違いなど、工程ごとの事情があるかもしれません。本記事では公的統計を読み解きながら、品質管理の中でも外観検査の自動化を検討する際の視点を紹介します。
品質管理のデジタル技術による業務改善は22.2%
2025年版ものづくり白書の図231-1では、ものづくり企業3,313社を対象に、デジタル技術を活用して業務改善を行った・行っている工程を集計しています。品質管理は22.2%で、生産管理の43.7%より21.5ポイント低い結果でした。※1
| 工程 | 業務改善の実施割合 |
|---|---|
| 事務処理 | 43.9% |
| 生産管理 | 43.7% |
| 製造 | 39.9% |
| 在庫の管理 | 35.2% |
| 品質管理 | 22.2% |
| 企画・開発・設計 | 20.4% |
出典:2025年版ものづくり白書 第1部第2章第3節 図231-1(JILPT「ものづくり産業におけるDXと人材育成に関する調査」、2025年5月)。複数回答。
ここで注意したいのは、この22.2%が「外観検査の自動化率」ではない点です。品質管理全般でデジタル技術を活用した業務改善を行った企業の割合であり、AIの導入率や改善効果を示す数字でもありません。
企業規模によっても品質管理の取り組み状況に差
品質管理における実施割合を従業員規模別に見ると、50人以下の企業では18.3%、301人以上では42.0%でした。※1
| 従業員規模 | 品質管理 | 製造 |
|---|---|---|
| 50人以下 | 18.3% | 31.5% |
| 51~100人 | 17.5% | 37.9% |
| 101~300人 | 30.0% | 49.8% |
| 301人以上 | 42.0% | 67.9% |
出典:2025年版ものづくり白書 図231-1。企業規模別の回答数は50人以下1,335社、51~100人1,019社、101~300人747社、301人以上212社。
規模が大きい企業ほど実施割合が高い傾向はありますが、この統計だけで「小規模企業は投資できない」「品質管理は自動化が難しい」と原因を特定することはできません。自社で検討する際には、企業規模よりも、改善したい検査業務を具体的に整理してみてはいかがでしょうか。
品質管理のデジタル化を考える際、どこから確認するか
品質管理には、受入検査、工程内検査、完成品検査、測定記録、異常分析など多様な業務があります。すべてを一度にデジタル化するのではなく、改善の効果を検証しやすい業務から対象を絞る方法が考えられます。
検査時間だけでなく、判定のばらつきと記録の使い道を見る
例えば外観検査であれば、検査にかかる時間だけでなく、判定の難しい不良の種類、検査員間で判断が分かれる条件、再検査の発生頻度、検査画像や判定履歴の保存状況を整理してみてはいかがでしょうか。
検査時間の短縮を目的とするのか、判定の一貫性を高めたいのか、検査結果を不良原因の分析に使いたいのかによって、必要な仕組みは異なります。
「自動化できるか」より先に、検査条件を整理する
同じ外観検査でも、対象物の形状・材質、傷や汚れの種類、照明条件、撮像位置、許容基準などが異なります。まず対象製品と不良モードを限定し、良品・不良品のサンプルを集めて、判定可能性を検証する進め方が現実的でしょう。
また、既存カメラや生産設備との連携、判定結果を誰が確認するか、誤判定が起きた際の運用も併せて検討しておくと、導入後の手戻りを減らしやすくなります。
外観検査の改善手段として、AI・画像処理による自動判定も
検査条件が整理できたら、目視検査の運用改善、ルールベースの画像処理、AIを使った判定などを比較してみてはいかがでしょうか。どの方式が適するかは、検査対象や不良の特徴、求める精度によって変わります。
一例として、アルファシステムズの「セミオーダー開発型 自動外観検査システム」は、検査対象や判定基準に合わせた構築、AI・画像処理による判定、検査画像・判定履歴の蓄積などに対応しています。既存設備との連携や、構想段階からの要求整理についても紹介されています。※2
自社の検査工程に合う仕組みを検討したい場合は、同社のサービス紹介ページも参考になるでしょう。
セミオーダー開発型 自動外観検査システム|アルファシステムズ
なお、デジタル技術の導入だけで品質が向上するとは限りません。試行段階では、見逃し・過検出、検査時間、再検査率などを現状と比較し、改善効果を確かめることが大切です。
まとめ:品質管理の22.2%を、自社の検査工程を見直すきっかけに
2025年版ものづくり白書では、デジタル技術を活用した業務改善の実施割合は、品質管理22.2%、製造39.9%、生産管理43.7%でした。企業規模によっても実施状況には差があります。
ただし、統計だけでは、自社の品質管理に何を導入すべきかは決められません。まずは検査時間、判定のばらつき、記録の活用状況などから改善したい課題を明確にし、対象工程を絞って検証してみてはいかがでしょうか。
※1 経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2025年版ものづくり白書」第1部第2章第3節、図231-1(2025年5月30日公表)。
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/pdf/honbun_1_2_3.pdf
※2 アルファシステムズ「セミオーダー開発型 自動外観検査システム」公式サービスページ(2026年10月29日確認)。
https://seizo-dx.alpha.co.jp/solutions/avi/
