自動車業界のCO2削減|2030年に向けて自動車部品工場に求められる取り組み

更新日 : 2026年10月29日
脱炭素・GX
自動車業界のCO2削減|2030年に向けて自動車部品工場に求められる取り組み

自動車業界では、2050年のカーボンニュートラルを見据え、製品の電動化だけでなく、生産工場やサプライチェーンを含めたCO2削減が重要な課題になっています。とくに自動車部品業界では、国内事業場のエネルギー起源CO2(Scope1・2)について、2030年度に2013年度比46%以上削減する目標が掲げられています。 本記事では、自動車業界・自動車部品業界のCO2削減目標と現在地を確認したうえで、工場で進めたい具体的な削減策を整理します。

自動車業界でCO2削減が求められる背景

自動車業界のCO2削減は、走行時の排出量だけを減らせばよいわけではありません。部品・素材の調達、製造、輸送、車両の使用、廃棄まで、ライフサイクル全体で排出量を抑える視点が求められています。

自動車部品業界でも、JAPIAは「2050年カーボンニュートラル達成に向け、自動車業界の一員として全力でチャレンジする」とし、生産工場の省エネや再生可能エネルギーの導入に加えて、Scope3領域の削減事例の共有も進めています。※2、※3

自動車部品メーカーにとっては、取引先企業の排出量開示への対応も無関係ではありません。関連する内容については、以下の記事もご覧ください。

自動車部品業界のCO2排出量は2013年度比30%減

日本自動車部品工業会(JAPIA)の2024年度実績によると、会員企業の国内事業場におけるエネルギー起源CO2(Scope1・2)の排出量は535.8万t-CO2でした。2013年度の770.7万t-CO2と比べて30%減少しています。※1

すでに削減は進んでいる一方で、2030年度目標までには、さらに削減を積み上げる必要があります。

2030年度は2013年度比46%以上の削減が目標

JAPIAの第10次環境自主行動計画では、2030年度のCO2排出量を2013年度比で46%以上削減する目標が示されています。対象は国内事業場のエネルギー起源排出量(Scope1・2)です。※2

2024年度時点の削減率は30%のため、目標との差は16ポイントです。2030年度までの残り期間では、従来の省エネ活動を継続するだけでなく、設備・工程の見直しや再生可能エネルギーの活用を組み合わせ、削減ペースを高めることが重要になります。

自動車部品工場で進めたいCO2削減の5つの取り組み

自動車部品工場のCO2削減では、まずエネルギーの使用状況を把握し、無駄を減らしたうえで、設備改善やエネルギー転換へ進むことが基本です。JAPIAが示している取り組みも踏まえると、主に次の5つが考えられます。※2、※3

1.エネルギー使用量を「見える化」する

工場全体の電力・燃料使用量だけでなく、工程・設備単位でエネルギー使用量を把握すると、削減余地の大きい設備や時間帯を特定しやすくなります。JAPIAでも、F-IoTなどを活用した見える化の事例を募集・共有しています。※3

2.生産工程のロスを減らす

段取り替え時のロス、待機電力、エア漏れ、必要以上の加熱・乾燥など、生産に直接寄与しないエネルギー消費を減らします。設備単体の効率だけでなく、稼働条件や運転時間まで含めて見直すことがポイントです。

3.高効率設備への更新・熱源設備を見直す

老朽化した設備を高効率機器へ更新することに加え、加熱・乾燥工程では「必要な場所を、必要な時間だけ加熱できているか」を確認することが重要です。熱源の変更や電化も、Scope1削減につながる選択肢になります。※3

4.再生可能エネルギーを導入・調達する

省エネで使用エネルギーそのものを減らしたうえで、太陽光発電の導入や再生可能エネルギー由来電力の調達などを組み合わせます。JAPIAも2030年度目標の前提として、省エネ努力と再生可能エネルギーの積極活用を掲げています。※2

5.Scope3を含めてサプライチェーンの削減を進める

自社工場のScope1・2だけでなく、原材料調達や物流などサプライチェーン全体の排出量把握・削減も重要です。JAPIAではScope3の活動事例や算出方法、推進体制に関する情報共有も進めています。※3

製造業の脱炭素対策は、業種によって進め方が異なります。関連する内容については、以下の記事もご覧ください。

工場のCO2削減は「エネルギーを使う設備」の見直しから

自動車部品工場では、生産設備のほか、加熱・乾燥、空調、コンプレッサーなど、多くの設備でエネルギーを使用します。CO2削減を進める際は、排出量の集計だけで終わらせず、どの工程・設備でエネルギーを多く使っているかを把握し、削減効果の大きい箇所から改善することが重要です。

とくに加熱工程では、炉全体や周囲まで長時間加熱する方式から、必要箇所だけを短時間で加熱する方式へ見直すことで、エネルギー使用量を抑えられる可能性があります。

赤外線ヒーターによる熱源設備の省エネも選択肢

エクセリタスノーブルライトジャパン株式会社の赤外線ヒーターは、必要な時だけ稼働させ、必要箇所のみをゾーン制御して急速加熱できます。自動車部品工場で加熱・乾燥工程のエネルギー使用量が大きい場合は、熱源設備の見直しをCO2削減策の一つとして検討できます。

まとめ|自動車業界のCO2削減は、工場の省エネと再エネ活用を両輪で進める

自動車部品業界のCO2排出量は、2024年度に2013年度比30%減まで進みましたが、2030年度の46%以上削減という目標に向けて、さらに16ポイントの削減が必要です。

そのためには、エネルギー使用量の見える化、生産ロスの削減、高効率設備・熱源設備への見直し、再生可能エネルギーの活用、Scope3を含むサプライチェーンでの取り組みを組み合わせることが重要です。まずは自社工場でエネルギー消費の大きい工程・設備を特定し、削減効果の見込める箇所から改善を進めましょう。

※1 一般社団法人 日本自動車部品工業会「環境自主行動計画に対する2024年度数値実績」(2026年3月23日)― 2024年度CO2排出量535.8万t-CO2、2013年度比30%削減
https://www.japia.or.jp/files/user/japia/work/kankyo/DL/2026/kankyo2024_20260323.pdf

※2 一般社団法人 日本自動車部品工業会「第10次環境自主行動計画」(2026年4月)― 2030年度CO2排出量2013年度比46%以上削減、省エネ・再生可能エネルギー活用方針
https://www.japia.or.jp/work/kankyou/jisyukeikaku/

※3 一般社団法人 日本自動車部品工業会「2026年度 省エネ対策事例」― Scope1・2、Scope3、熱源変更、再生可能エネルギー、F-IoT(見える化)等の事例収集
https://www.japia.or.jp/topics_detail49/id=2721

本コラムの作成・編集者

ターゲットメディア株式会社 ENTERA編集部

BtoBマーケティング支援を手がけるターゲットメディア株式会社の編集チーム。官公庁が公表する統計・白書をもとに、人事・経済・DXなど企業活動に関わるテーマを数字で読み解き、エンタープライズ企業の実務担当者に向けて発信しています。